藤原定家(ふぢはらのさだいへ)と塚本邦雄の短歌
藤原定家は、彼の和歌によって、言葉の美と内容の抽象性で、いつも魂が昇華する。
この定家の美空間を教示してくれたのが塚本邦雄である。
塚本の歌集は、非常に高価格だった。
最初に買ったのは『されど遊星』。貧乏学生には辛い3,500円だった…
しかし、衝撃を受けたのは金字塔と名高い『緑色研究』の中の短歌。
雉食へばましてしのばゆ再た娶りあかあかと冬も半裸のピカソ
革命来たることなし町は旱天にならべてさかさまに売る箒
アヴェ・マリア、人妻まりあ 八月の電柱人のにほひに灼けて
出埃及記とや 群青の海さして乳母車うしろむきに走る
文芸評論家のような気が利いたことは語れないが、鳥肌が立つ歌たちである。