大海の磯もとどろによする波われてくだけて裂けて散るかも

「~かも」の歌の終わり方が万葉調である。あるいは斎藤茂吉風である。

この歌の作者は、鎌倉三代将軍 源実朝である。

やまと歌をよく知っているなら別であるが、普通は武家の頭領と和歌とは結びつかない。

私も違和感があった。

そして、この歌は天才の詩である。

実朝は藤原定家と親交があったらしい。

定家の歌論に『近代秀歌』があるが、実朝の求めに応じてしたためたものらしい。

昔、貫之、歌の心巧みに、たけ及び難く、詞強く、姿おもしろきさまを好みて、余情妖艶の躰をよまず。

有名な一説である。

実朝が定家の教えに従ったかどうかは定かではない。

 

さむしろやまつよの秋の風ふけて月をかたしくうぢのはし姫

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